総務省が毎年発表する「情報通信白書」の最新版が公表されました。
同白書には毎年「情報通信メディアの利用時間」に関する調査の結果が掲載されています。
今回はこの最新の調査結果について、白書の最新トピックともあわせて、見ていきたいと思います。
総務省「情報通信白書」とは
総務省は令和6年7月5日付で、令和6年「情報通信に関する現状報告」(令和6年版情報通信白書)を公表しました。昭和48年の第1回公表以来、今回で52回目となります。
例年、時節に沿った特集が組まれています。本編の後半では最新・令和6年版の特集内容を簡単になぞりますが、ここでは御参考までに最近10年分を以下にご紹介します。時代の変化が垣間見えるでしょうか。

「メディア利用状況」最新調査結果
ここから、令和6年版情報通信白書(P177)に掲載されている「情報通信メディアの利用時間」の最新調査結果について取り上げます。この調査は令和6年6月に公表された「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(総務省情報通信政策研究所) 調査期間:令和5年12月2日(土)~12月8日(金)」からの出典で、毎年、情報通信白書に結果が掲載されているものです。
※白書掲載の調査データは、例年、前年に実施した調査結果となっていますので、この点にご留意ください。
主なメディアの平均利用時間と行為者率
【表1】は「テレビ(リアルタイム)視聴」、「テレビ(録画)視聴」、「インターネット利用」、「新聞閲読」 及び「ラジオ聴取」の平均利用時間と行為者率を、平日を上段に、休日を下段に示したものです。本稿では、最新・2023年の平均利用時間について、昨年よりもアップしたところには「UP↑」という字を入れ込んでいます。
用語の定義、計算方法:
◎日記式調査における用語の定義と計算方法
ア)平均利用時間
調査日1日当たりの、ある情報行動の全調査対象者の時間合計を調査対象者数で除した数値。平日については調査日数(2日間)の1日当たりの、休日については調査日の平均時間。
イ)行為者率
調査日1日当たりの、調査対象者のうち情報行動を行った人の比率。平日については調査日2日間の平均。休日については調査日の比率。
ウ)行為者平均時間
調査日1日当たりのある情報行動の時間合計を、同じ調査日における行為者数で除した数値。その情報行動を行った者に限定した平均時間。平日については調査日数(2日間)の1日当たりの、休日については調査日の平均時間。
【表1】主なメディアの平均利用時間と行為者率 | 白書掲載番号(Ⅱ-1-11-11)


(出典)総務省情報通信政策研究所「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
/調査対象期間:令和5年12月2日(土)~12月8日(金)
■調査結果の主なポイント(「テレビ」、「インターネット」、「新聞」及び「ラジオ」の利用時間と行為者率)
近年は[「インターネット利用」が漸増。「テレビ」及び他のマスメディアは漸減]という傾向だったが、今回は【年代別】で傾向に違いが見られる結果となった。
・【全年代】増えるインターネット利用時間
【全年代】(=図のグレーの枠内)では、平均利用時間は、平日、休日ともに「テレビ(リアルタイム)視聴」及び「インターネット利用」が多い。 そのなかで「インターネット利用」のみが、平日、休日ともに前年から増加を見せている。また、休日の「インターネット利用」の平均利用時間が、初めて200分を超過。平日も200分に迫っている。
・【年代別】年代によってはテレビ(リアルタイム)視聴の再伸も。年代別で異なる差異
【年代別】で細かく見てみると、30代平日、20代休日で「インターネット利用」を含む全メディアで利用時間が前年から減少した。
「インターネット利用」の平均利用時間については、平日は10代、50代及び60代で大幅に増加。(中でも平日の50代は「テレビ(リアルタイム)視聴」を初めて超過している。) 休日は10代で大幅に増加。
「テレビ(リアルタイム)視聴」の平均利用時間は、休日の20代及び30代で減少。一方で平日の40代および平日&休日の50代及び60代で増加。(中でも60代は平日で250分超、休日で300分を超過。)
[Tips]
主なメディアの平均利用時間
・【全年代】では「インターネット利用」が漸増。「テレビ」+他マスメディアは漸減という傾向は継続。
・【年代別】では年代によってはテレビ(リアルタイム)視聴の再伸が見られるなど、年代別で異なる差異も発生。傾向に違いが見られた。
インターネット利用の内訳
■主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率
・調査では、ユーザー同士の交流やコミュニケーションを主な目的とするソーシャルメディア系サービス/アプリに動画等の共有サイトを加えた主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用の有無を尋ねている。
・結果は【表2】の通り、「LINE」は、全年代では90%を超える利用率。年代別でも60代を除く各年代で90%を超える利用率を示す。
・続いては動画共有サービス「YouTube」の利用率が高く、前回の令和4年度調査結果との比較では、全年代ではほぼ横ばいとなっている。年代別では10代から40代で90%超える高い利用率となっている。
・ほかに全年代の利用率で見ると、「Instagram」が56.1%、「X(旧Twitter)」が49.0%、「Facebook」が30.7%である。
・「Instagram」は、20代の利用率が最も高く78.8%。 前回令和4年度調査結果と比較すると、全年代で増加しており、年代別に見ると50代での大幅な増加が目立つ。また、男性に比べて女性の利用率が高い。
・「X(旧Twitter)」は、前回令和4年度調査結果【表3】と比較すると、全年代では増加しており、10代から50代で利用率は増加、60代の利用率は減少している。20代の利用率が最も高く81.6%となっている。
・「Facebook」は、前回令和4年度調査結果と比較すると、全年代ではほぼ横ばいとなっている。年代別に見ると10代の利用率が最も低い。
・「TikTok」は、前回令和4年度調査結果と比較すると、全年代及び各年代で利用率が増加している。年代が若いほど利用率が高くなっており、10代では70.0%の利用率を示している。
【表2】
出典:総務省情報通信政策研究所「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 概要」P11
【表3】
出典:総務省情報通信政策研究所「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」P77
■動画共有・配信サービス等の利用率
・令和5年度調査の動画共有・配信サービスの利用については【表4】の通り、全年代で、最も利用率が高いのは「YouTube」(90.2%)であり、「Amazonプライムビデオ」(42.9%)、「TVer」(34.7%)が続く。
・年代別に見ると、各年代とも、最も利用率が高いのは「YouTube」。「YouTube」は、10代から40代で90%を超える高い利用率となっている。、
・次いで「Amazonプライムビデオ」が(50代を除いて)高い利用率となっている(50代はTverの方が多い)。
【表4】
出典:総務省情報通信政策研究所「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」P85
[Tips]
主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率は、全年代では「LINE」→「YouTube」→「Instagram」→「X(旧Twitter)」→「TikTok」→「Facebook」の順。
動画共有・配信サービス等の利用率は、全年代では 「YouTube」→「Amazonプライムビデオ」→「TVer」→「Netflix」の順。
(トピック)令和6年版 情報通信白書の特集
白書では、第Ⅱ部に例年の継続調査の結果等の「情報通信分野の現状と課題」を掲載していますが、冒頭の第Ⅰ部に特集ページとして「特集①令和6年能登半島地震における情報通信の状況」と「特集②進化するデジタルテクノロジーとの共生」を設けています。
特集① 令和6年能登半島地震における情報通信の状況
「特集①令和6年能登半島地震における情報通信の状況」では、令和6年1月1日の地震発生による通信・放送インフラの被害状況や復旧の取組、放送などメディアの果たした役割、今後の強靱化に向けた取組等について整理・掲載しています。
この特集①の「第2章-第2節 浮かび上がった課題と今後の対応」の中では「能登半島地震において、SNSは情報収集手段や安否確認手段として寄与していた一方で、SNS上では、迅速な救命・救助活動や円滑な復旧・復興活動を妨げるような偽・誤情報が流通したと指摘されている。」と、SNSをめぐる問題の発生と対処についての記載があります。
なお、情報通信白書令和6年版では、“インフォグラフィック”が新たに作成されました。下記はそちらからの抜粋で、上記の情報も一見でわかりやすくなっています。
【図1】インフォグラフィック:能登半島地震と情報通信(情報入手メディアと偽・誤情報の流通・拡散)
出典:総務省|情報通信白書令和6年版 インフォグラフィック
特集② 進化するデジタルテクノロジーとの共生
つづく特集②では「進化するデジタルテクノロジーとの共生」と題しAIなどが社会・経済にもたらす新たな可能性とリスクに触れつつ、健全な活用に向けた取組を展望しています。このなかからいくつか抜粋してご紹介します 。
■現在は“第4次AIブーム”
AIは黎明期から現在まで、3度のブームと冬の時代を繰り返して高度化してきました。現在は2022年頃からの生成AIの急速な普及により、現在は第4次AIブームに入ったとも言われています。
【図2】人工知能・ビッグデータ技術の俯瞰図 | 白書掲載番号(I-3-1-1)

■生成AIの利活用
生成AIをはじめとするデジタルテクノロジーについては、【図3】の通り、現時点では国内の利用が進んでいると言えない状況にあります。 その一方で、【図4】が示すとおり、今後の利用に前向きな割合*が高い項目では7割程度あることから、“潜在的な利用意向が存在し、将来サービス・コンテンツとともに活用が進む可能性を秘めている”と白書は展望します。
*「既に利用している」「ぜひ利用してみたい」「条件によっては利用を検討する」の合計値
【図3】 生成AIの利用経験 | 白書掲載番号(I-5-1-1)
(出典)総務省(2024)「デジタルテクノロジーの高度化とその活用に関する調査研究」
【図4】生成AI用途別の利用意向(日本)
(出典)総務省(2024)「デジタルテクノロジーの高度化とその活用に関する調査研究」
[Tips]
令和6年版 情報通信白書の特集は「①令和6年能登半島地震における情報通信の状況」と「②進化するデジタルテクノロジー(AI)との共生」
まとめ
今回で52回目となる総務省の「情報通信白書」。 特集は「能登半島地震」と「AIを中心としたデジタルテクノロジー」の2つがテーマとなりました。情報通信が「くらしを守ること」と「社会・経済活動の変革や成長」の双方に深く関わっていることを示しています。
また、主なメディアとの接点という視座では、平均利用時間の変化については、近年の〔テレビ・新聞・ラジオなどマスメディアは(2020年にコロナ禍で利用時間の増加がみられたものの)漸減傾向、インターネット利用は漸増傾向〕という、中期的な動向を示していましたが、今回の最新調査では年代によってテレビなどマスメディアでのスコア上昇とインターネットでのスコア下落が起こるなど中期的傾向とは異なる動きが現れました。これが直近の傾向に対する変化の兆しとなるのでしょうか。引き続き注目したいところです。
※出典元:
令和6年版・総務省情報通信白書
関係情報:情報通信関連:情報通信白書令和6年版 (soumu.go.jp)
データ集 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/datashu.html
別紙1「令和6年版情報通信白書の概要」
別紙2「令和6年版情報通信白書インフォグラフィック」
2024/06/21 総務省情報通信政策研究所「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000122.html