「書き込み」から「語り込み」へ。音声SNSの今後の広がりを考える

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「書き込み」から「語り込み」へ。音声SNSの今後の広がりを考える

2021年コロナ禍中に生まれ、新しいコミュニケーションツールとして一世を風靡したClubhouse。その狂騒は一気に終息を迎えたかのように見えました。しかし2023年上半期・日経クロストレンド「今後伸びるビジネス」に発表されたランキングには、将来性のあるマーケティングキーワードとしてClubhouseを含む「音声SNS」が堂々1位の伸び幅を示していました。「テキスト」と「動画」の中間に位置する「音声」は、デジタルネイティブと言われるZ世代に非常に親和性の高いツールとしても注目されています。さまざまなプラットフォームが立ち上がり、Clubhouse自体も大きく改編を加えられています。音声SNSの現在地と今後を見ていきましょう。

音声SNSとは

定義

音声SNSをざっくりと定義するなら、ユーザーが音声コンテンツを共有し、ほかのユーザーとコミュニケーションを図ることのできるプラットフォームということでしょう。ただ音声だけではなくテキストメッセージや画像を付け加えられる機能も有していることも多く、「音声を中心とした」SNSと言ったほうが正確かもしれません。音声自体を扱ったコミュニケーションツールには旧来のものの中にも多くあるので、どこまでを音声SNSの範疇とするかが難しい部分もあります。またプラットフォームによって音声の主たる扱い方が異なっているので、ユーザーの目的によって使い分けられています。以下音声コミュニケーションが可能ないくつかのプラットフォームを機能に分けて見ていきましょう。

グループライブ機能

一般的に音声SNSとしてイメージしやすいのはこの機能でしょう。あるテーマをホストが提示しグループを作成、ライブで配信(アーカイブ化も可能)。興味を持った不特定多数のオーディエンスが集まり参加、意見交換をしながら進行するカタチをとるものです。そこに投げ銭機能や有料配信などを取り入れ、主催者に収益を上げるシステムを持たせたりもしているものもあります。主だったプラットフォームではClubhouse、Twitter(現X)Space、Spoon、Wachaなどがあります。

音声コンテンツ配信機能

音声をラジオ番組のようにコンテンツ化し、配信する機能です。広い意味ではポッドキャストと言われるものはすべてこの中に入ると思いますが、双方向かつスマートフォンなどで個人でもより手軽に配信できるプラットフォームとして紹介するならば、stand.fm、Radiotalk、参加のための審査が厳しいけれどVoicyなどがあります。コンテンツを通してユーザー同士のコミュニケーションも図れます。サービスによって参加者の年齢層や、興味ジャンルが違っているので、配信を望む場合はそれぞれの特性を把握することが大切です。

音声メッセージ、通話機能

SNSを広い意味でとらえるならば、テキストの代わりに音声メッセージを送ることや、複数人での音声電話通話などももこの部類に入るかもしれません。LINEなどで音声メッセージをやり取する人もいるでしょう。テキストより音声のほうがより感情やニュアンスを伝えやすいということはすべてにわたっての利点としてあげられる特徴です。

それぞれ機能別にわけておよその区分を紹介しましたが、2つ以上の機能を同時に搭載しているプラットフォームもあるので、明確に分類するのは難しくなってきてはいます。

【Tips】音声を主軸としたサービスは様々。プラットフォームによってメイン機能、ユーザー層の違いもある。それぞれを把握して利用することが必要である。

音声の特徴と活用法

なぜ音声が伝わるのか

従来のテキストでのコミュニケーションに比べ、ユーザーの直の感情や微妙なニュアンスを伝えるのに音声は大きなアドバンテージがあることは先にも触れました。また同時に別の作業をしながら聴取できる、いわゆる「ながら」作業ができることも音声メディアの大きなメリットです。さらには動画配信と違って、スマホひとつあれば簡単にどこでもライブ配信ができる、編集も映像ほど手間がかからないといった利点もあります。この辺りの特徴がZ世代を含む多くの人々に受け入れられる音声の優位性なのです。

音声SNSのマーケティング的な使い方

このような音声プラットフォームの状況を受けて企業も積極的にプロモーションとして活用し始めているようです。極端に言えば商品と広報の担当者が一人いれば、自宅で番組を作れてしまうという音声SNS。初期費用をかけずに商品などにどの程度の反響があるか、ユーザーとの双方向のやり取りで、温度感を測ることができるのも魅力です。各プラットフォームで企業に関連のある商品やテーマを題材にチャネル、ルーム、番組を立上げるのです。もちろん番組の質も問われるので、様々な切り口やキャスティングで制作するべきでしょう。
また各プラットフォームは年齢層やユーザーの興味によってかなり細かくセグメントされているので、ターゲットを絞った効率的なメディア選びが可能な状況もあります。あるいは企業のマーケティング戦略に関するグループインタビューの場として活用することも可能でしょう。
音声SNSプラットフォームの定義をどこまで広げるかにもよりますが、自主制作ではなくコンテンツとして番組を「提供」する、音声広告を番組の合間に流すといったこともできる音声メディアもあります。

音声SNSの注意点

いっぽう音声に限らずですが、こういった配信については炎上などのリスクが伴うことも知っておかなくてはなりません。番組自体の内容の話もありますが、あまりにも企業からの一方的な主張であったり、やらせ、ステマのような疑念がもたれたりした場合、一気に信用を落とすことになりかねません。マーケティング的な活用の仕方にはユーザーと同じ目線で企画・制作することが肝要です。またライブなどの場合思わぬやり取りから、個人の中傷やプライバシーの開示に至ってしまうケースもあるので注意が必要でしょう。


【Tips】音声だからこそのメリットを考えながら、企業のマーケティング施策のひとつとして柔軟に活用できるのが音声SNS。

プラットフォームの今

Clubhouse

音声SNSのはしりとして一世を風靡したClubhouseは現在大幅なリニューアルを行っています。かつては招待されないと参加できないシステムでしたが今は誰でも参加が可能となっており、以前はホストとオーディエンス参加の大人数のライブルームがメインでしたが(その機能も健在です)、今はより個対個のつながり、相互フォローを重視し、また音声メッセージ投稿した後、そこからやり取りができる仕様も加えられています。以前ほどのアクティブな環境にはないように見受けられますが、それでもそれぞれのテーマを提示したルーム内のコミュニケーションから新しいビジネスが発生している事例は多いようです。

音声プラットフォームのタイプ

ほんの一部を冒頭に紹介しましたが、Clubhouse以外にも現在は様々なプラットフォーム(アプリ)が登場してきています。企業や個人がどれを選択すべきなのかはそれぞれの目的や嗜好によると思うのですが、大きく分けて対象が「よりクローズドか、よりオープンか」、番組は「質重視か、手軽に参加か」の2軸で分けられると思います。さらにターゲットや年齢層の掛け合わせをした上でどれを選択、参加するべきか検討することになるでしょう。

【Tips】Clubhouseは大幅リニューアル。そのほかにも様々なプラットフォームがあり、目的によって使い分ける。

まとめ

今回は個人レベルでも手軽に参加できるツールとして音声SNSの範疇にフォーカスしてお話をしましたが、音声ビジネス市場全体にその目を向けて見てみると、今後大きな拡大が予想されています。株式会社デジタルインファクトが発表した調査によるとデジタル音声広告については「2022年以降急速な拡大が進み、2025年には420億円規模になる」とされています。現状ではまだ限定的なリーチにとどまる音声SNSですが、ユーザー側も発信者側も「時間を拘束しすぎない」この「音声」を、マーケティング的に活用できうる幅はさらに広がっていくのではないでしょうか。

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