みなさんは「TOBIUO PARA JAPAN」というチーム名をご存じでしょうか。「TOBIUO PARA JAPAN」は、肢体が不自由な選手と知的障がいのある選手がオールジャパンで1つになり、「障がい者水泳」の競技において世界で闘うチームの名称です。
国際的には、日本のように肢体障がいと知的障がいで中央競技団体が分かれているケースが少ないため、国際大会においてはオールジャパン・ワンチームで登録することがあり、このようなチーム名称で闘っているのです。そして、日本の知的障がいのある選手は世界でも活躍しており、メダルも複数獲得していて、支援する側にとってのコミュニケーション価値という意味で注目したいところです。ここでは、知的障がい者水泳について、その内容と協賛・支援の可能性を模索してみたいと思います。
知的障がい者水泳とは
日本における知的障がい者水泳の競技大会は、1999年に「日本知的障害者水泳連盟」が発足し、幕を開けます。日本の中央競技団体発足からさかのぼること13年前、1986年に誕生した国際知的障害者スポーツ連盟による大会実施などにより、着実に成長の歩みを続けていた知的障がい者スポーツは、1996年にアトランタ大会で初めて行われたパラリンピックを契機に、一気に過熱しました。
しかし、2000年シドニー大会で転機を迎えます。前回アトランタ大会で実施された陸上、水泳、卓球に新たに加わったバスケットボールにおいて、金メダルを獲得したスペインの登録選手12人のうち10人が健常者だったことが内部告発で明るみになったのです。
当時は、障がいを認定する国際的な統一基準がなかったことが要因とみなされました。国際知的障害者スポーツ連盟(INAS)は不正発覚後、知能指数(IQ)が75以下で精神科医の証明もあるなど、国際大会の選手資格を明確に定めることで理解を獲得しようと努力しました。国際パラリンピック委員会(IPC)は障がいの科学的な証明を求め、判断力や動作などによる認定基準が確立された陸上、水泳、卓球が12年ロンドン大会でようやく復活したのです。
冒頭「TOBIUO PARA JAPAN」のお話をしましたが、パラリンピックをはじめとした国際大会に出場する場合、1つの国で1つのチームとしてユニフォームはじめ統一する必要があることから、身体障がいのある選手が所属する「日本パラ水泳連盟」と合流して選手を派遣することが「日本知的障害者水泳連盟」に求められ、連携がはじまりました。
東京2020大会においては、男子100m平泳ぎで、山口尚秀選手(四国ガス)が世界新記録で金メダルを獲得しました。現在、2023年、中国杭州で行われているアジアパラ大会でも200m自由形で木下あいら選手が金メダル、井上舞美選手が銅メダルと結果を出しています。
【Tips】知的障がい者水泳は、歴史の浅さや2000年シドニー大会での苦難を乗り超え、メダル獲得者を輩出し、今後期待のかかる種目であるといえる
日本知的障害者水泳連盟について
では、国内の中央競技団体である日本知的障害者水泳連盟とは、どのような団体なのでしょうか。
1999年、知的障がい者水泳の普及・強化・振興を目的に設立され、国内大会を年に3回、国際大会に選手派遣を都度行っております。
連盟内には、特別支援学校で教師を務めながらお手伝いをされているコーチがいたり、近年では健常の水泳連盟から組織基盤強化のために移ってこられた役員がいたりします。
障がいの特性として、外見的な見た目ではなかなか障がいがあることがわからず、ご苦労をされている親御さんも多いため、周囲の理解が非常に重要であるなか、新規参入の選手集めや、練習場所やコーチの確保など乗り越えたい課題もたくさん抱えています。
2023年1月には、新たな取り組みとして、毎年開催されている日本知的障害者選手権新春水泳競技大会において、国内で初めてダウン症のクラスを設け、大会を実施しました。
【Tips】見た目でわかりづらいが故の苦労も多い中、新たな挑戦を続けている。連盟においても人材確保が課題のため、より一層の経済的な支援が求められている
セールスプログラムとその協賛メリット
毎年更新されるセールスプログラムを確認となりますが、代表的なプログラムを紹介します。
・呼称権、肖像使用権(個人・集団)、ロゴ(プロパティ)使用権
・大会(バナー、プログラム)、連盟公式HPでの露出
・カテゴリー独占権
・国内3大会協賛権
これらの組み合わせにより、
・オフィシャルトップパートナー
・オフィシャルパートナー
・オフィシャルサポーター
・大会プログラムパートナー
といった階層がHPに記されています。※2025年8月末時点
【Tips】連盟に問合せをすることで協賛可能
まとめ
いかがでしたでしょうか?協賛と併せて、社内研修プログラムなども検討することで、障がい者に対する理解の促進、ひいては企業のSDGsへの取り組みとしても活用可能かと思います。今後さらに高まることが予想される障がい者雇用率を見据え、考えるきっかけとなる機会創出にもつながるのではないでしょうか。